【イヤイヤ期】いつから?どうして始まるの?イヤイヤ期の正体
「あれもイヤ、これもイヤ!」と泣いて怒るこどもの姿。一般的にイヤイヤ期と呼ばれるこの時期は、いったいいつごろ始まるものなのでしょう。
よく「魔の2歳児」と言われるため、「2歳からでは?」と考える方も多いかもしれません。しかし実際、イヤイヤ期はもう少し早い月齢で始まる場合も多いと言われています。
今回は、イヤイヤ期が始まる時期やその理由などについてご紹介します。「最初の反抗期」とも呼ばれるイヤイヤ期は、とかくネガティブなものとして捉えられがち。しかしほんの少しの知識があれば、イヤイヤ期の渦中にあるお子さんへのまなざしに変化が生まれるかもしれません。
イヤイヤ期っていつ始まるの?
「魔の2歳児」と語られることも多いイヤイヤ期。そのため、「イヤイヤ期は2歳から始まる」と思われている方も多いかもしれません。しかし実際には、1歳半ごろからイヤイヤ期らしい言動が見られるようになる場合も。
その背景にあるのは、こどもたちの身体的、そして精神的な発達です。
- この2点について詳しく見ていきましょう!
なぜ起こる?イヤイヤ期の正体
それまであやせば泣き止んでいたこどもが、自分が提案することになんでもいやと首を振る。泣く、怒る。スムーズに運んでいた物事がうまくいかなくなり、その変化に周囲の大人たちは戸惑ってしまうものですよね。この時、こどもたちの中ではどのような変化が起きているのでしょう。
1. 自我の芽生え
生まれてから数ヶ月間、赤ちゃんは多くの時間をお母さんと過ごします。そのため、この時赤ちゃんは自分とお母さんの境界線がわからず、「お母さんと私は一緒」という感覚の中にいます。
しかし生後9ヶ月ごろになると、この感覚に変化が訪れます。「自分とお母さんは実は別々の存在なのかもしれない」と気がつくようになるのです。ハイハイ、つかまり立ち、歩行と自分一人での移動が可能になるにつれ、身体的にお母さんと離れる機会が増えるためです。
この「身体的に母体を離れる」という段階を経ながら、こどもは徐々に精神的にも母体を離れていきます。お母さんという殻の中から自分の思いや精神が抜けていき、もちろん個人差はありますが、およそ1歳半ごろにはその過程が完了します。
お母さんから精神的に抜け切った時、こどもの中に芽生えるもの。それは「自我」です。この自我の芽生えから、「私はこうしたい!」「僕はこれはいやだ!」という、イヤイヤ期に見られる言動が表れるようになっていくのです。
2. 秩序の敏感期
モンテッソーリ教育の考え方のひとつ、敏感期。何か特定の力を獲得するために、強くエネルギーが出る時期のことです。
イヤイヤ期のこどもの姿に強く関係するのは秩序の敏感期。「いつも同じ」であることに強いこだわりを見せる時期で、1歳半〜3歳ごろに特に強く現れます。この時期、こどもは秩序に安心を感じ、いつも同じ経験を重ねることで、今いる環境に自分を適応させようとしています。自分にとって未知の世界を、一生懸命理解しようとしているのですね。
たとえば、下記のようなこどもの姿に心当たりはないでしょうか。
大人にとって些細な出来事も、こどもにとっては「いつもと違う、安心できない」大きな変化。いつもとは異なる出来事に、こどもは時に苦しみに似た思いさえ感じることがあるのです。「イヤ!」と強いエネルギーを見せる姿の裏には、こんな理由も隠れているのですね。
イヤイヤ期は自立への第一歩
このように、イヤイヤ期は実はこどもの成長を示してくれるとても大切な時期。こどもたちは、自分の中に芽生えたばかりの自我を一生懸命使おうとしています。そこには決して「大人に反抗してやるぞ!」という思いがあるわけではありません。「自分の思いや意思はどこまで影響力があるのだろう」と無意識のうちに試しているだけなのです。
それもこれも、すべては次のステップ、次の発達段階へ向かうために必要なこと。イヤイヤ期とは、こどもが自分の力で自立へ向かって進むためへの、大切な第一歩なのです。
「大人VSこども」の対立関係はNG
このように、この時期のこどもたちは、自我を鍛えている真っ最中。どこまでがよくてどこまでがいけないのか学ぼうとしています。
しかしここで、「どうしてわかってくれないの?」「どうして困らせるの?」と大人がこのエネルギーに真向から立ち向かってしまっては、「大人VSこども」という対立関係を生んでしまうことに。イライラしてしまうのもよくわかるのですが、これではこどもの「自立したい」という本来のエネルギーは、別の方向へ向かってしまうことにもつながりかねません。
こどもにとって大きな一歩であり、成長のチャンスであるイヤイヤ期。せっかくならきちんと理解し、こどもの発達をさりげなくサポートしてあげたいものですね。イヤイヤ期の具体的なかかわりのポイントは、イヤイヤ期の対応についての記事をご参考にしてみてください。また、思い通りにならないと泣くこどもの対応についての記事もおすすめです。
まとめ
言葉のイメージが先行し、「とにかく厄介なもの」と捉えられてしまいがちなイヤイヤ期。たしかに、なんでも「イヤ!」と感情をぶつけてくるこどもに、日々疲れを感じることもあるかと思います。
しかし、そんな時こそ少し立ち止まり、今起こっていることを俯瞰し、こどもの内側を理解しようと努めてみることが大切です。そうすることで、お子さんへのまなざしはおのずと変化していくでしょう。そしてそんなまなざしの変化こそ、お子さんの成長を助ける糧となってくれるはずです。
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フランス在住ライター。教育、語学、旅、文化などについて執筆。日英翻訳も行う。大学卒業後渡英、ロンドンでライター活動を開始。その後日本で英会話講師や編集業を経たのち、インターナショナルスクールで5年間幼児教育に携わる。現在は、フランス南西の街トゥールーズで、日本にルーツを持つ幼児たちに日本語教育も行っている。
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