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話し続けるこども、子育て

こどもが話し続けるのはなぜ?モンテッソーリ流かかわり方3つのポイント

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こどもたちはお話をすることが大好き!個人差はあるものの、「起きている間ずっとおしゃべりを続けている」という姿も珍しくありません。しかし、話し続けるこどもと長時間過ごしていると、「静かにしてほしい」「少し話すのをやめてほしい」と感じてしまうこともありますよね。

それでは、こどもたちはいったいどうしてそんなにもおしゃべりをしたがるのでしょうか。今回はその理由とともに、モンテッソーリ教育の観点も含めたかかわり方のポイントをご紹介します。

話し続けるこどもの姿、その理由とは?

話し続けるこども、親子、子育て

こどもたちは、1歳を過ぎる頃から徐々に意味のある言葉を話せるようになっていきます。「わんわん」「まんま」などの一語文は、しだいに「わんわん、いた」といった二語文へ変化。その後さらに複雑な文章へ発達していきます。

モンテッソーリ教育では、こどもがある力を獲得しようと強い興味を見せる時期敏感期と呼びますが、今回のテーマに大きくかかわるのが言語の敏感期です。この言語の敏感期にいるのは0〜6歳ごろのこどもたち。中でも0〜3歳の3年間は、こどもの言語獲得に特に重要な時期だと言われています。この期間、こどもたちは周囲の人々とのコミュニケーションを通し、一気に語彙を吸収していくのです。

「たくさんお話をしたい!」「たくさんお話を聞きたい!」

彼らは、これから一生使っていく言語を「自分のものにしよう」としている真っ最中。そしてこれが、こどもたちのおしゃべりが止まない理由のひとつなのです。

おしゃべりが止まらない!こどもとのかかわり方

子育て、悩み、親

理由はわかっても、疲れている時などは「うるさいな」「今は話をやめてほしい」という思いから、ついこどもの話をないがしろにしてしまうこともあるかもしれません。

では、話し続けるこどもに対しどのようにかかわっていけばよいのでしょう。こどもたちの言語の獲得、さらに心の発達を助けていくために意識したいのは3点です。

話し続けるこどもへのかかわり、3つのポイント
  1. 心を留めて、真剣に聴く
  2. こどもがインプットする言葉に配慮する
  3. 言葉を補いながら会話する

1. 心を留めて、真剣に聴く

「こどもへのかかわり」と聞くと、声かけの仕方など、大人からこどもに働きかけるコミュニケーションを思い浮かべる方も多いかもしれません。こうしたかかわりももちろん大切です。しかし、こどもとの信頼関係を築くために同じくらい大切にしたいのは「聴く」こと。つまり「心を留めて、こどもの話を真剣に聴く」という行為です。

いつまでも止まらないこどもの話。つい聞き流してしまったり、なんとなく相づちを打ってしまうこともあるでしょう。その気持ちもとてもよくわかります。ただ、そうした反応ばかりが続くと、こどもはしだいに「どうせ自分の話は聞いてもらえない」と感じるように。すると、大人に対する信頼感や自尊心を築くことが難しくなっていきます。

そこでおすすめなのは、1日数分でも忙しい手を止め、こどもの「話したい」という気持ちを受け止めて真剣にお話を聴く機会を設けることです。一見受け身にも思える「聴く」という行為。それがこどもの安心感や信頼感の構築につながっていくのです。

2. こどもがインプットする言葉に配慮する

話し続けるこども

こどもは身近な人々とのコミュニケーションの中で多くの語彙を吸収し、言語を獲得していきます。このインプットなしにアウトプットはできません。

そこで私たち大人が配慮したいのが環境です。たとえば、不適切な言葉や人を傷つけるような言葉を多く耳にするような環境にいると、こどもはその言葉を当たり前のものと受け取り、獲得していってしまいます。

まずは「こどもがどんな言葉をインプットできる環境にあるのか」を見直し、周囲の大人が美しく豊かな表現を使うこと。さらに、こどもの目に触れるメディアや本の内容にも配慮することが大切です。このように環境を整えてあげることで、こどもは徐々に「使うべき言葉の基準」を形成していきます。

3. 言葉を補いながら会話する

言語を獲得中のこどもたちは、まだ使える語彙や表現が少なく、自分の思いや感覚を言葉でうまく表せないことがあります。そこで、こどもとの会話の中で大人が言葉を補ってあげることが必要です。具体的には以下のような方法が。

こどもとの会話で言葉を補うには
  • 気持ちや思いを代弁する
    「これがいやだった!」→「うまくできなくて悲しかったんだね」
    「あれがほしいの」→「あのお花を触ってみたいんだね」
  • 行動を描写する
    「見て、今これしたの」→「お洋服をたたんでくれたのね」
    「これ描いたよ」→「お空はこの色で塗ったんだ、すてきだね」

また、さまざまな意味を集約できる「やばい」「すごい」といった言葉をなるべく避けるのもひとつの手段です。こうした言葉を他の表現に置き換えてみましょう。

「やばい」「すごい」の置き換え方
  • やばい
    →「甘くてとってもおいしいね!」「今日は寒いね」「あの車、かっこいいね」「まずい、傘を忘れてしまったね」
  • すごい
    →「鮮やかできれいな色ね!」「ひとりで靴を履くことができたんだね!」「大きなお山だね」

このように、私たちが日々の言葉づかいを少し意識することで、こどもの語彙を育む手助けとなるのです。

丁寧なかかわりは、こどもの心の発達も助ける

話し続けるこども、子育て

こうしたかかわりは、こどもの言語発達の手助けとなるばかりではありません。「話を聴いてもらえる」という安心感は、こどもの情緒の発達につながります。また、豊かな語彙や表現力はものごとの捉え方や価値観の形成、さらには人格形成にも影響を及ぼします。

丁寧なかかわりが与えるこどもへの影響
  • 話を聞いてもらえるという安心感
  • 聞いてもらった経験から「もっと話したい」という意欲の醸成
  • 豊かな語彙や表現の獲得と価値観の形成
  • 言葉を獲得することで成し得る自己コントロール力
  • 人格形成

フィードバックが見えづらい、こどもとの日々のささやかなやりとり。そこに丁寧に向き合っていくことが、目には見えないこどもの心の育ちの手助けとなります。

まとめ

今回ご紹介したポイントは、こどもへのかかわりに限ったものではありません。

たとえばパートナーや家族とのやりとり、職場の人間関係。「真剣に聴く」姿勢は、大人同士のコミュニケーションも円滑にしてくれるでしょう。また、語彙や言葉の表現の幅が広がることは、私たちの人生をも豊かにしてくれるものと思います。

こどものお話が止まらない時は、ぜひご紹介したポイントを実践してみてくださいね。こどもが「汚い言葉を使う」とお悩みの方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

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この記事を書いた人
Mariko Dedap
ライター / 保育士 / 中高美術教諭

フランス在住ライター。教育、語学、旅、文化などについて執筆。日英翻訳も行う。大学卒業後渡英、ロンドンでライター活動を開始。その後日本で英会話講師や編集業を経たのち、インターナショナルスクールで5年間幼児教育に携わる。現在は、フランス南西の街トゥールーズで、日本にルーツを持つ幼児たちに日本語教育も行っている。