モンテッソーリ教育ってどんな教育?子育てで取り入れるコツとは?
昨今さまざまなメディアで取り上げられるようになり、日本でもその認知度を高めつつある“モンテッソーリ教育”。
従来の教育に代わる、オルタナティブ教育の一つとしても挙げられます。
知育として注目されることも多い教育法ですが、その目指すところは「勉強ができる子を育てる」ことではありません。では、なぜ今、モンテッソーリ教育が注目されているのでしょうか。モンテッソーリ教育の特徴をご紹介するとともに、いますぐ子育てに取り入れられるポイントと関心が高まっている理由を紐解いていきたいと思います。
モンテッソーリ教育とは?
今から110年ほど前にイタリアで、マリア・モンテッソーリという女性医師(以下、モンテッソーリ博士)によってモンテッソーリ教育は築き上げられました。今でいう療育の研究から始まっており、こどもを観察することによって確立された、科学的な教育法です。
日本ではモンテッソーリ教育を受けるための選択肢はまだまだ少ないですが、欧米を中心に全世界に広まっており、乳幼児教育から高校の課程まで整っているところもあります。
では、その世界的にも認められているモンテッソーリ教育とは一体どのような教育方法なのでしょうか。
まずは、軸となる5つのポイントを見ていきましょう。
観察
“観察”はモンテッソーリ教育の最も大切なポイントとも言えます。モンテッソーリ博士がローマ大学附属の病院に勤めた際、発達に遅れがあるとされるこどもがパンくずを拾い集めているのを見ました。それを、卑しいと捉えるのではなく、知的欲求に従って指先の感覚を楽しんでいるのだと気づき、そこからこどもの発達やそれに必要な援助についての研究が始まります。
こどもの行動について、良い悪いの判断はせず、ただただ、見守る。今その子は何に興味を持っているのか、何をできるようになりたがっているのかなどを観察し続けます。
環境を通してこどもの育ちを助ける
こどもは環境を通して自らを発達させていくと考えられており、大人からこどもに教える、従来型の上から下への教育はしません。
モンテッソーリ教育は、「こども」「大人」「環境」の3つの要素で成り立っており、こどもが主体で大人はあくまでもサポート役。こどもを観察することで、一人ひとりのその時の興味・関心に合った環境を整え、こどもと環境をつなぐ橋渡しの役をします。道具はこどもが一人で扱えるよう、こどものサイズに合ったものを用意し、また、大人の扱い方を見たこどもが自然と吸収できるよう振る舞うことで、こどもの育ちを助けていきます。
自己教育力
モンテッソーリ博士は、こどもは「自ら育つ力」を備えている、という人類の普遍的な特徴を見出しました。歩くようになりなさいと教え込まれなくても、歩くようになり、ある一定の年齢になると話すようになる。生まれた国や言語が異なる赤ちゃんも、同じような発達段階を経て成長していきます。これは人間として生きていくために、”いつ何をすべきか”が生まれる前からプログラムされているからなのです。
生命の援助
モンテッソーリ教育の最終目標は、「自立」と「自律」です。こどもが、自立と自律に向かってエネルギーを最大限に発揮し、獲得すべき能力を適切な時期に獲得していけるよう、援助するのが私たち大人の役割です。
俗にいわれる「イヤイヤ期」も、モンテッソーリ教育のもとでは、発達のエネルギーと捉えられます。こどもの生命から湧き出る欲求を尊重し、見守り、必要なときに手を差し伸べる。
そうすることで、一人ひとりの子供たちの中に隠れたエネルギーが健全に発達し、こどもたちの持つ計り知れない可能性を「育む」ことができます。
お仕事
モンテッソーリ園では発達段階に合わせて、さまざまな「お仕事」が用意されており、2歳半から6歳のお仕事は、「日常生活の練習」「感覚教育」「言語教育」「数教育」「文化教育」の分野で構成されています。
グループで行うための教具やお仕事も用意されていますが、多くは個別で行う活動で、個々のペースが保障されているのも特徴。こどもたちは、内発的動機によって、自らやりたいお仕事を選び取り、満足するまで取り組むことが許されています。
モンテッソーリ教育を子育てに取り入れることってできるの?
ここまでお読みいただき、「素敵な教育方法だけど、家庭で実践するのは難しそう」「園に通わないと難しいのかな」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。
実は、家庭で取り入れることも可能なのです!
ここからは、モンテッソーリ教育をご家庭で取り入れるポイントと取り入れることで期待できることについてお話しします。
モンテッソーリ教育を家庭で取り入れるポイント
そもそも家庭は、こどもにとって最も安らぐことができ、自分を育む基盤となるべき場所。私たち親は、こどもの育ちを導くための「一番身近なガイド」です。そして、こどもは大人のあり方やまなざし、言動から影響を受けるからこそ、私たちにも羅針盤が必要ですよね。
ぜひ、その羅針盤としてモンテッソーリ教育を取り入れることをお勧めします。園に通えなくても、特別な教具がなくても、大丈夫です。こどもがもつ自ら育つ力を信じること、そのときどきに合わせて適切なかかわりをすること。そして目の前のこどものことを知ろうとする親のまなざしこそが、モンテッソーリマインドであり、何よりもまずご家庭で取り入れたいポイントです。
そして、次なるステップとしておうちの環境作りにも取り組んでみましょう。
子育てにモンテッソーリ教育を取り入れることで期待できること
自分のペースが保障された環境の中で、興味関心によって、自ら行動し、満足いくまで物事に取り組むことで「自分でできた!」という経験を積むことができます。「できた!」が増えることで、こどもは着実に自立へと向かっていくことができるのです。
さらには、目に見えるスキルだけでなく、その経験を通して、満足感や有能感、自信や自己肯定感、やりぬく力など、「生きる力」を育んでいくことにも繋がります。
また、自分を尊重してかかわってもらうことによって、こどもは自尊感情を育み、他者を尊重する力が自然と身についていきます。
このように、モンテッソーリ教育をご家庭に取り入れることで、自分を理解してあたたかいまなざしを向けてもらう中で、自分のもっている力やエネルギーを十分に発揮して、自ら育っていくことができるのです。
なにより、こどもの育ちについて知ることで、大人の心構えやマインドセットが築かれていきます。こどもを理解することができ、生きる力が育まれるのをしっかりと援助することができるということは、私たち自身の喜びにもつながるでしょう。そして、モンテッソーリマインドをもってこどもを尊重した関わりを続けることで、親子の信頼関係が築かれていくことも期待できます。
まとめ
今回は、モンテッソーリ教育ってどんな教育?ということをお届けしました。
読んでいく中で印象が変化した部分はありましたか?モンテッソーリ教育は100年以上前に確立された科学的な教育法でした。実は長い歴史のある教育方法だということに驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。
なぜ今、モンテッソーリ教育が注目されているのでしょうか。
それは、幼少期にモンテッソーリ教育を受けていたという著名人の影響もあるのかもしれませんが、変化の激しい時代だからこそ、こどもたちに自分で生き抜く力を身につけて欲しいと私たち大人が願っているからかもしれませんね。
答えのない時代。正しいとされていたことが物凄いスピードで変化していく時代。しかし、どんな時代であっても、こどもの中にプログラムされている発達の法則や力は普遍的であり、変化することはありません。だからこそ、私たち大人がそれらを理解して、育ちを助けていく。
この援助こそが未来の希望であるこどもたちを支えていくのではないかと感じます。今回の記事が、モンテッソーリ教育を知るきっかけになり、こどもを知ることに繋がったら幸いです。
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