「嫌なことがあると噛む」モンテッソーリ流3つのかかわりのコツ
思い通りにいかない時や嫌なことがあった時、相手を噛んだり叩いたりする姿が見られることがあります。そんな姿を見ると「大丈夫かな?」と不安になってしまいますよね。なぜ、このような姿を見せるのかの原因と対策をお話していきます。
言葉の代わりに身体を使って表現しようとしている
子どもの年齢が低ければ低いほど、自分の思いを言葉で表現するのは困難……。言葉の代わりに「噛む」「叩く」など、身体を使って表現しようとします。相手が言っていることを理解できていても、それに対してどう発語すればいいかがわからない。そのもどかしさから、発言する時に使う同じ口を使って「噛む」行為をしてしまうこともあります。
「お友達にわざと危害を加えているのでは?」「愛情不足?」と、不安に感じることもあるかもしれません。しかし、感情的にならずに以下のコツを参考にかかわることをおすすめします。
言葉で伝える力を身につける3つのコツ
わざとではないとは言え、どんな思いがあっても、人や物に危害を加えることは良いことではありません。どのようにかかわっていけばいいか、モンテッソーリ流の3つのコツをお話します。
①身体を使って制止する
子どもが人を叩いたり噛んだりしている時は、まずその行動を大人の身体を使って制止しましょう。
「叩いちゃダメ」「噛まないよ」と、言葉で制止するだけではなく、身体を使ってすみやかに制止しましょう。
②わかりやすく線引きを示す
身体で制止をしたら、「してはいけないこと」としてはっきりと線引きをしましょう。
この時、シンプルにはっきりとわかりやすく線引きを示すことがポイント。例えば「ダメでしょ! なんで噛んだりするの? 〇〇君の手が赤くなっているよ。ほら、謝りなさい。こんなことをされたら嫌でしょ?わかった?早く謝りなさい」。こんな風に、長々と矢継ぎ早に言われてしまうと、子どもは何を言われているのか、結局大切なことは何だったのかがわからなくなってしまうのです。
③気持ちを代弁する
叩いたり噛んだりすることは、決して良い手段ではありませんが、必ず子どもなりの理由があります。そのため、線引きをしっかりと示したあとに、子どもの気持ちを代弁しましょう。そして、言葉を使った具体的な表現方法を伝えるようにしましょう。
このようにかかわることで、子どもは「わかってもらえた」という安心感を抱くことにつながるだけではなく、自分の気持ちを認識することにもつながります。
状況によっては、どんな理由で噛んだり叩いたりしたかがわからないこともあります。そんな時はこのような声かけをしてみるのもおすすめです。
このように、受け止めた後に聞いてみたり、代弁したりすることをおすすめします。たとえ真相がわからなかったとしても、“わかろうとしてくれる大人の姿”が子どもの心を落ち着かせてくれます。そして、自分に向き合って理解しようとする大人の姿が、“自分は真剣に向き合ってもらうに値する人間なんだ”という感情を子どもに与えていきます。
焦りや不安を切り離して向き合うこと
わが子がお友達を噛んだり叩いたりする姿は、親として心穏やかではいられませんよね。焦りや不安から感情的に怒ったり、叱ったりしてしまうこともあるかもしれません。しかし、大人が感情的になって怒ったり叱ったりしてしまうと、「怒られた」という印象が最も強く残ります。その結果、本当は一番伝えたいはずの「噛んではいけないこと」や「具体的な表現方法」が子どもには伝わらなくなってしまいます。
そして、噛んだり叩いたりしている時に「痛いでしょ、もぉ~!」「やめてよ~」などと、笑いながら遊び半分で応えてしまうと、「楽しんでいる」「やっていいことなんだ」と学んでしまいます。その反応見たさにもう一度同じような行動をすることもあるので注意が必要です。
まとめ
「おもちゃを返して欲しい」「抜かされたのが嫌だった」などと表現することができず、噛んだり叩いたりしてしまうことはよくあることです。不安で心配になる気持ちは本当によくわかります。そんな時は焦らずに、「①やってはいけないことを身体で制止→②気持ちを代弁→③具体的な表現方法を教える」この3ステップで、必ずいつか言葉でつたえられるようになります。安心して大丈夫ですよ!
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出版社勤務を経て、出産を機にフリーランスに。育児書や児童書、Webメディアなど、ママパパ向けの媒体での執筆がメイン。7歳と11歳の娘の母。