【モンテッソーリ教育】絵本の選び方と年齢別おすすめ絵本15選!
お子さんに絵本を読み聞かせたり、キッズスペースやリビングに絵本を用意したりしているご家庭は多いかと思います。では、どのような絵本がこどもの発達を促すのか、絵本の選び方についてはご存知でしょうか?
実は、モンテッソーリ教育では、こどもの絵本によくあるファンタジーは取り扱いません。
この記事では、こどもの発達に即した絵本の選び方についてお話ししたいと思います。年齢別のおすすめ絵本もご紹介していきますので、ぜひ最後までお読みくださいね。
こどものための絵本選びのポイント!「現実に即したもの」を選ぼう
一口に絵本と言っても、さまざまなジャンルやいろいろなテーマを取り扱ったものがあります。せっかくこどものために選ぶ絵本ですから、こどもの発達を後押しするようなものを選びたいですよね。
それでは、どういった基準で絵本を選ぶとよいでしょうか?
一番大切にしたいポイントは「現実に即している」ということ。イラストが写実的だったり美しいもの、そしてストーリーが現実的なものを選ぶというのがおすすめです。
なぜなら、乳幼児期のこどもは、自分がいる環境に適応するということを課題としているからです。特に0~3歳ごろまでは、環境に適応していくために、現実を知るということが発達上とても大事。そのため、「現実に即している」絵本を通して、この世界をより知っていくということがこどもの成長を助けることになるでしょう。
こどもの絵本の中には、リンゴに目と口があって喋ったり、クマが洋服を着てフォークとナイフを持ってご飯を食べたりといった描写のものがありますよね。これは、現実世界のリンゴやクマのあり方ではなく、ファンタジーの世界が描かれています。それよりも、例えば、リンゴがリアルに描かれているものや、クマがどのように生活しているかが描かれているものなど、現実世界とはこういうところだよ、というのがわかるようなものがよいでしょう。
ファンタジーはNGなの?
それでは、ファンタジーを描いた絵本はNGなのでしょうか?
絵本の醍醐味はファンタジーだという考えもあるかと思います。ファンタジーはNGだから一切触れさせてはいけないというわけではありません。ファンタジーから得られる想像力や創造力などもあるでしょう。
しかし、さまざまな能力が発達し、自分の中の知識を組み合わせて想像してみたり、何かを創り出してみたりすることが少しずつできるようになってくるのは4歳頃になってからになります。本格的に育んでいくのは、小学校に入ってからなので、想像力を慌てて育む必要はありません。
こどもが自分で選んだ絵本を「読まない」とする必要はありませんが、大人が選ぶものは意識的に選んでいきたいですね。
年齢別おすすめ絵本15選
それでは、おすすめの絵本を年齢別にご紹介します。発達には個人差があるので、年齢はあくまで目安として捉えてください。どちらの年齢向けにご紹介するものも、何歳でも読んでいい絵本なので、お子さんの好みや興味に合わせつつ、選んでみてくださいね。
0, 1, 2歳におすすめの絵本5冊
まずは0歳から2歳のこどもにおすすめの絵本をご紹介します。
①『どうぶつのおかあさん』文:小森 厚、絵:薮内 正幸(福音館書店)
動物のお母さんと赤ちゃんが、どのように移動するかということが、さまざまな動物で描かれています。絵もお話もリアルなので、こどもがこの世界を知ることができる1冊。動物園に行って実際の動物を見た後に、おうちで絵を見ながら動物園で見た動物についてお話しすることもできます。
②『フルーツめしあがれ』作:視覚デザイン研究所、絵:高原 美和(視覚デザイン研究所)
フルーツが手に取って食べたくなるくらい綺麗でリアルな描写になっています。そのままのフルーツだけでなく、切った様子も描かれており、同じ「すいか」でも、さまざまな状態を知ることができます。「あーん、食べちゃった」「○○ちゃんも食べる?」などと、こどもとコミュニケーションをとりながら会話を膨らませていくこともできます。
③『おててがでたよ』作:林 明子(福音館書店)
男の子がひとりで着替えをしようとする絵本です。なかなか手が出ない、頭が出ないなど、ひとりでやろうとするとすごく時間がかかるけれど、「自分でやりたい」時期のこどもの様子を描いています。ちょうど自分でやりたいエネルギーがあふれ出てくる1歳半ぐらいのこどもに特におすすめです。
④『うんちがぽとん』絵・文:アロナ・フランケル、訳:さくま ゆみこ(アリス館)
主人公のまあくんが、おまるでうんちやおしっこができるようになるまでのストーリーになっている絵本。トイレットラーニングをしているときにおすすめの1冊です。この絵本を使いながら「こんな風におまるでおしっこしてみる?」などと誘いかけることもできます。急かす必要はないですが、こどもが「こんなふうにすればいいんだ」「やってみようかな」と感じるきっかけづくりになるでしょう。
⑤『おいていかないで』作:筒井 頼子、絵:林 明子(福音館書店)
お兄ちゃんと妹が登場するストーリーです。妹はお兄ちゃんと一緒に外へ行きたい一方で、お兄ちゃんは妹についてきてほしくないと思っていて、二人の攻防が描かれていきます。最終的にはお兄ちゃんが諦めて妹を連れていくことにするのですが、妹の気持ちもお兄ちゃんの気持ちもどちらも「わかる!」と思ってしまう1冊。2歳くらいのストーリー性のあるものが読めるようになってきたころにおすすめです。
3, 4歳におすすめの絵本
次に3歳、4歳のこどもにおすすめの絵本を5冊ご紹介します。
①『おでかけのまえに』作:筒井 頼子、絵:林 明子(福音館書店)
日曜日の朝、起きてからお出かけするまでの女の子とその家族の様子を描いたストーリー。お出かけする前のしたくを「自分でやりたい!」という気持ちでいっぱいの女の子が登場します。その様子がとてもリアルで、大人は我が子と重なる部分を感じ、こどもは親近感を覚える、そんな1冊です。
②『モノレールのたび』作:みねお みつ(福音館書店)
モノレールがホームに入ってきて、人が乗り降りし、街中を走っていく様子が、とてもリアルなイラストで描かれています。車庫で点検する様子やモノレールがどのように動いているかなどについても描かれており、乗り物が大好きなお子さんにとってはとても楽しい1冊だと思います。実際にモノレールに乗った、原体験の前後で読むのがおすすめです。
③『ちょっとだけ』作:瀧村 有子、絵:鈴木 永子(福音館書店)
特に下の子が生まれたお兄ちゃんお姉ちゃんにおすすめの絵本です。今までは声を掛けるとすぐに対応してくれたお母さんは、今は赤ちゃんのお世話で忙しい様子。主人公の女の子が、お母さんに頼るのを少し我慢して自分でやろうとする様子は、大人にとっては胸がきゅっと痛くなる場面でもありますが、そうして少しずつ自分でできることが増えていく女の子は少し誇らしげな様子でもあります。
そして最後に「“ちょっとだけ” だっこして……」とお願いする女の子に対し、「“ちょっとだけ” じゃなくて いっぱい だっこしたいんですけど いいですか」とお母さんが返すというあたたかいストーリー。こどもにとっては自分の気持ちを代弁してくれる絵本になるかもしれません。
④『いそげ きゅうきゅうしゃ』作:竹下 文子、絵:鈴木 まもる(偕成社)
消防署の指令室に電話が鳴って、救急車が出発して、現場に行くまでの様子や、現場で人を乗せてから病院に到着するまでの様子がリアルに描かれています。救急車を外で見る機会はありますが、救急車の内側を見ることができる絵本です。救急車がどのように動いているか、救急車に乗っている人がどのように働いているかが、この絵本を読むとよくわかります。
⑤『さっちゃんとなっちゃん』作・絵:浜田 桂子(教育画劇)
さっちゃんとなっちゃんという隣同士に住む二人の女の子が登場します。二人は朝ごはんに食べるものも違えば、好きな食べ物も違い、たくさんの違うところがありますが、とっても仲良し。一見とても当たり前のことを描いているのですが、「それぞれに違って、それぞれにいいよね」ということが、この本を通してじんわりとこどもにも伝わる1冊です。
5, 6歳におすすめの絵本
最後に5歳、6歳のこどもにおすすめの絵本を5冊ご紹介します。
①『おかあさんがおかあさんになった日』作:長野 ヒデ子(童心社)
お母さんがお腹が大きくなって、赤ちゃんが生まれるまでの過程を描いています。シリーズになっていて、他にも、おとうさん、おばあちゃんバージョンがあります。自分てどうやって生まれたんだろうと疑問に思う時期でもあるので、そんなときに読みたい1冊です。
②『とつき とおか 赤ちゃんが生まれるまで』文:ミランダ・ポール、絵:堤 治他(汐文社)
こちらも妊娠から出産までを描いた絵本です。お腹の中の赤ちゃんが少しずつ大きくなっていく様子が、とてもリアルなイラストで描かれています。こどもにとっては、お腹の中がどうなっているかは未知の世界で、何が起きているかわからない状態なので、このような絵本を読むことで知っていくことができるでしょう。
「赤ちゃんってどうやって生まれるの?」という疑問が生まれたときに読みたい1冊です。
③『どうぶつえんのおいしゃさん』作・絵:降矢洋子(福音館書店)
お客さんがいない朝の動物園の描写からはじまり、動物園の中で獣医さんがどのように働いているかということがとてもリアルに描かれています。また、動物園で見ている動物たちが、裏側ではどのように過ごしているかも知ることができる、まさに現実に即した絵本です。なかなか通常は見ることのない部分なので、大人でも興味深く楽しめる1冊です。
④「すごいね!みんなの通学路』文:ローズマリー・マカーニー、訳:西田佳子(西村書店)
写真を使って、世界のさまざまな通学路を紹介している本です。年齢が上がるにつれ、少しずつ、世界にはいろいろな国や文化があって、自分だけではないんだというのを楽しめる時期になってきます。それを知るきっかけの1冊になるかと思います。そして、それじゃあ食べ物はどんなだろう、服装はどんなだろうなどと、話を広げていくこともできますね。
⑤『さっちゃんのまほうのて』作・絵:たばたせいいち(偕成社)
さっちゃんという女の子が主人公の絵本です。さっちゃんの右手には指がないのですが、幼稚園でおままごとのお母さん役をやろうとした際に、「さっちゃんはおかあさんにはなれないよ!だって、てのないおかあさんなんてへんだもん!」と言われて、すごく落ち込みます。それでもさっちゃんは「さっちゃん」でいいんだと立ち直っていくストーリー。みんなそれぞれ、個性や特徴、特性を持っていて、「みんな違ってみんないい」「みんな違って当たり前」だということを間接的に伝えられる1冊。
まとめ
こどもの発達を促す絵本の選び方から、おすすめの絵本までをご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。
乳幼児向けの絵本というとファンタジーが描かれているものもたくさんあるので、「現実に即した絵本を選ぶ」というのを意外に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、この時期のこどもにとっては、自分が生きていく世界がどんなところなのかを知ることがとても大切です。ぜひ、今回ご紹介した絵本をご参考に、絵本選びを楽しんでみてください。