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【北欧インタビュー】第2回「モンテッソーリ教育に魅了された」スウェーデンのモンテッソーリスクールで働くオスターグレン・モニカ・静さん

公開日:

Montessori Parentsファウンダーであるモンテッソーリ教師あきえが、「こどもが尊重された社会」を視察するべく実現した、3週間の北欧滞在。本シリーズでは、スウェーデンとフィンランド2カ国の滞在中に行った、教育関係者の方々へのインタビューを全3回に渡りお届けします。

第2回目の今回は、スウェーデンの都市ストックホルムのモンテッソーリスクール「Vasastans Montessoriskola」を訪問し、モンテッソーリ教師オスターグレン・モニカ・静さんにお話を伺いました。スウェーデン人の父と日本人の母のもと生まれ、幼少期の多くを日本で過ごしたモニカさん。スウェーデンに移る以前は、カナダやイタリア、香港などで教育について学びを深めてこられました。

モニカさんが現在勤務するモンテッソーリスクールについて、またモニカさんがそこで日々感じられていることなどについてお話を聞かせていただきました。

プロフィール
オスターグレン・モニカ・静さん

モンテッソーリ教師(6〜12歳クラスレベル)、教育者。
イタリアベルガモでAMI6-12の国際資格を取得後は、香港のインターナショナルモンテッソーリスクールで6年経験を積み、現在はスウェーデンストックホルムにあるモンテッソーリスクール「Vasastans Montessoriskola」に勤務。
お住まい:日本出身、スウェーデン在住

プロフィール
モンテッソーリ教師あきえさん

国際モンテッソーリ教師、保育士
「こどもが尊重される社会をつくる」ことをビジョンに、子育てのためのオンラインスクール「Montessori Parents」ファウンダー、ベビーブランド「mu ne me」運営、オンラインコミュニティ「Park」運営を行う。
プライベートでは二児の母(7歳,1歳)

1歳から中学生までが学ぶストックホルムのモンテッソーリスクール

あきえ:まずはモニカさんのご経歴を教えてください。

モニカ:スウェーデン人の父と日本人の母のもと日本で生まれ、0〜9歳と14〜19歳を日本で、9〜14歳をスウェーデンで過ごしました。幼少期は福島県のモンテッソーリ園に通っていたんですよ。その後カナダのモントリオールに渡り小学校教諭学士を取得。さらにギャップイヤー(※1)をとり、NGOピースボートにボランティア英語教師として乗船し、そこで教育者として再びモンテッソーリ教育に出会いました。船を降りるころには、すっかりモンテッソーリ教育に魅了されていましたね。

(※1)高校や大学などの卒業と入学の間といった節目期間のこと。欧米などでは一般的に、この期間を社会的活動やインターン、留学、旅など、個人の成長のための活動にあてることが多い。

あきえ:そこでモンテッソーリ教師になることを決意され、イタリアで国際モンテッソーリ協会(以下「AMI」)6〜12歳クラスレベルの国際資格を取得されたんですね。

モニカ:はい。その後モンテッソーリ教師として香港で6年経験を積み、3年前にパートナーと愛犬とともにスウェーデンに移りました。現在はストックホルムのモンテッソーリスクールで小学校クラスを担当しています。

あきえ:モニカさんが現在勤務されるモンテッソーリスクールのクラス構成を教えていただけますか?

モニカ:1〜2歳半のICプログラム(※2)、2歳半〜5/6歳のプライマリープログラム、5/6〜9歳の小学校低学年クラス、さらに9〜11/12歳の小学校高学年クラスがあります。ICプログラムはこども10人に対し先生がふたり、プライマリーはこども21人に先生が3人。小学校低学年は25人、高学年は32人のこどもたちに対し、それぞれ先生が2.5人つきます。「2.5人」というのは、基本的に先生がふたりいるクラスに、必要に応じ学童の先生が入り3人体制になることがあるという意味です。また、少し離れたところには12〜15歳(中学生)のキャンパスもあります。

(※2)インファントコミュニティプログラム(Infant Community Program)のこと。

自分で食器などが用意できる環境

あきえ:プライマリーと小学校クラスの間には、明確な境界線があるのでしょうか。

モニカ:5〜6歳の年長さんのこどもたちは小学校0年生(※3)にもあたります。スウェーデンでは、国として0年生を対象としたカリキュラムも設定されていますが、「0年生のみを対象とした授業」とすると、縦割りクラスを基本とするモンテッソーリ教育の考え方とずれが生じます。そこで、年長さんのこどもたちが小学校低学年クラスのメンバーとして学ぶようにクラス設定をしています。

(※3)小学校入学1年前のこどものこと。幼稚園や保育園から小学校に上がる際の教育の連続性を意識して使用されることがある。

モンテッソーリ教師が教育現場で直面する課題や難しさ

こどもが二人で世界地図について学んでいる

あきえ:モニカさんがこどもたちとかかわる上で大切にしていること、またスクールとして大切にしているのはどんなことでしょうか。

モニカ:私が何よりも大切にしているのは信頼関係です。こどもと教師の間に絆のベースをつくることが最初の入り口だと思います。面と向かって話すのが苦手なこどもも、「教師がほかのこどもたちとどうかかわっているか」は必ず見ているもの。(こどもたちの内側にあるものを)引き出すよう魅了するのが私たちの仕事です。

スクールとしては、「安心安全」「こども中心に」「楽しく意欲的に取り組める学習」という3つのキーワードを大切にしています。

あきえ:こちらのスクールには、どのような先生方が在籍していらっしゃるのですか?

モニカ:教師はみなAMIもしくは違うモンテッソーリの資格かコース習得したもの、または保育士・小学校教論、もしくは両方を保有しています。ただモンテッソーリスクールという特性上、モンテッソーリ教師の資格がない場合は、モンテッソーリ教育について勉強するということが必要条件になります。

あきえ:保有する資格やディプロマの種類が異なることで、先生方の間で、知識や教育的観点に多少のギャップが生じることもあるかと想像します。

モニカ:そうですね、難しい部分です。同じチームで働く教員同士とはいえ、各々の資格が含有する内容をすべて把握することはできません。特に小学校クラスは、昨年度までは全体で1クラスだったところ、今年度から初めて異年齢の2クラス(0〜3年生と4〜6年生)になったいう経緯もあり、各クラスがその時に行っていることをつねにシェアするようにしています。また、校長や私などAMI資格保有者(※4)を中心に、毎月チームのワークショップや研修も行っています。


(※4)国際モンテッソーリ協会(Association Montessori Intrnationale =AMI)が発行する教員資格を保有する者。

あきえ:日本では保育士不足や教員不足が叫ばれていますが、スウェーデンではどうですか?また、スウェーデンでモンテッソーリ教育を本質的に実践する上で感じる難しさなどがあれば教えてください。

モニカスウェーデンも同じように教員不足です。労働条件に反発する先生、退職を選ぶ先生もいます。モンテッソーリ教師も決して数は多くありません。

私自身、同じ(AMIモンテッソーリ教師という)ベースを持った同僚が少ないという部分に思い悩むこともあります。時折AMIの先生がクラスに入ってくれると、「共通言語がある」という感じで、さまざまなことがとてもスムーズに進むんです。

さまざまな国や文化の教育現場を経て

あきえ:数カ国に暮らしてきたモニカさんから見て、スウェーデンの保護者と教員間の関係性はどうですか?

モニカスウェーデンでは、親と先生がいい意味で対等です。その分、学校に対し自分の意見をはっきり表明する保護者の方もいるので、教員がある程度しっかり線引きをしなければいけないこともあります。

たとえば「こどもに宿題を出してほしい」と要望を受けることがありますが、スクールとしては「学校で勉強しているので、基本的に宿題は必要ない」という考えです。その考えを保護者の方に伝えつつ、「家庭での時間は、親子で一緒に料理をしたり、公園へ行ったり、本を読むなどしてくださいね」とお話しています。

あきえ:異なる文化圏のこどもたちを見ていて感じることはありますか?

モニカ:香港とスウェーデンに限ってお話をすると、こどもが教員の提案を「No」と断る時の「断り方」に違いを感じます。(教員が提案する活動などに対し)こどもに断る権利があるのは大前提として、香港では「大丈夫、ありがとう」とやんわりとした断り方をするこどもが多かったんですね。
一方スウェーデンでは、「それをやろうとは思わない!」と自分の意思をとてもダイレクトに伝えてくれるこどもが多いと感じます。最初は少し驚きましたが、自分の意思を大切にし、表現できるというのは素晴らしいことですね。

あきえ:最後に、スウェーデンの一般的な教育とモンテッソーリ教育の共通点、そして最も異なると感じる点を教えてください。

モニカ:共通点は、こどもたちのさまざまなレベルに合わせ教育をしていることだと思います。(単一的な教育ではなく、個に合わせて違いをつける)「differentiation」とも言えますね。

逆にもっとも異なるのはクラス形式でしょうか。スウェーデンの学校は学年別クラスで、一斉に同じ教科を学ぶというのが主流です。一方モンテッソーリ小学校は縦割りで、3時間のワークサイクルの間、小グループを対象に教師が提供(※5)していきます。その間ほかのこどもたちは、自由に自分が選んだお仕事をしていきます。

モンテッソーリ教育のすばらしいところは、カリキュラムやこどもを惹きつける要素がすでにあるということ。私たち教師の役割は、その要素をこどもへ提供し、環境とこどもを結びつけることだと思っています。

(※5)活動の目的に適うよう、使い方や活動の仕方をこどもにやって見せることをモンテッソーリ教育で「提供」と呼ぶ。

まとめ

あきえ

モニカさんのお話、さらに実際のスクールの視察を通して、改めてモンテッソーリ教育の深さを感じました。また、同時に忠実に実践することの難しさも感じましたが、日々全力で向き合うモニカさんのお姿に感銘を受けました。素敵な対談をありがとうございました!

北欧インタビューシリーズ第2回目の今回は、スウェーデンでモンテッソーリ教師として日々お子さんと向き合うモニカさんのお話をお届けしました。

さて、北欧インタビューシリーズ最終回の第3回目となる次回は、フィンランドにあるモンテッソーリ園でのお話をお届けします。どうかお楽しみに!

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この記事を書いた人
Mariko Dedap
ライター / 保育士 / 中高美術教諭

フランス在住ライター。教育、語学、旅、文化などについて執筆。日英翻訳も行う。大学卒業後渡英、ロンドンでライター活動を開始。その後日本で英会話講師や編集業を経たのち、インターナショナルスクールで5年間幼児教育に携わる。現在は、フランス南西の街トゥールーズで、日本にルーツを持つ幼児たちに日本語教育も行っている。

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