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こども、否定的な声かけ、自己肯定感

否定的な声かけはNG?こどもの自己肯定感に与える影響

最終更新日: 公開日:

「それ、しないで!」「こんなふうにやらないで」

日々の育児の中、こどもに対してついこんな声かけをしてしまうこと、ありますよね。ただ、こうした否定的な声かけには注意が必要です。

近年、広く語られるようになった自己肯定感という言葉。この言葉を耳にしたことがある方の中には、「否定的な声かけは、こどもを傷つけるのでは」「自己肯定感の育ちに影響するのでは」と考える方もいるでしょう。

否定的な言葉、その影響の有無は言葉の量と質による部分が大きいです。しかしその頻度が高くなってくると、考慮したい影響が生じることがあります。今回は、こどもへの否定的な声かけから生じる2つの影響をご紹介します。否定的な言葉が出そうになってしまった時の対策もあわせて見ていきましょう。

否定的な声かけって?

具体的に否定的な声かけというと、どのようなフレーズが思い浮かぶでしょうか。たとえば、歩いてほしい場所でこどもが走り回っていると想像してみましょう。そんな時、つい「走らないで!」と口をついてしまうかもしれません。しかしこの言葉は、見ての通り「~しないで」という否定の言葉になります。

否定的な声かけ、肯定的な声かけ

それでは「走らないで!」を肯定的な声かけに置きかえてみましょう。

肯定的な声かけ例
  • 「歩こうね」
  • 「手をつないで歩こうね」

こんなふうに提案することで、肯定的な言葉で「走らないでほしい」というメッセージを伝えることができます

否定的な言葉はこどもを傷つける?

否定的な声かけの影響、それは言葉の質と量によりますが、「日常的に否定的な言葉をかけられ続ける」「その頻度が高い」。こうなってくると、こどもへのネガティブな影響が生じることがあります。

しかしまずお伝えしたいのは、「否定的な声かけを決してしてはいけない」わけではないということです。危険がある、何かに危害を与えているといった緊急性が高い場合などは、「~しないで!」と、こどもの行動を制限することも時に必要です。また、一度や二度否定的な言葉を使ったからと言って、こどもに多大な影響を与えるとは考えづらいもの。何においてもそうですが、大切なのは使い方のバランスなのです。

否定的な声かけから、こどもが受ける影響2点

こども、親子、否定的な声かけ、自己肯定感

日々の生活の中、肯定的な言葉よりも否定的な言葉を浴びる機会が圧倒的に多い。そのような場合に考えられる、こどもへの主な影響はこちらです。

否定的な言葉がこどもに与える影響
  1. こどもの「わかる」と「できる」に与える影響
  2. 自己肯定感の育ちにかかわる影響

詳しく見ていきましょう。

①こどもの「わかる」と「できる」に与える影響

1点目は、こどもの「わかる」と「できる」にかかわる影響。否定的な言葉を多くかけられることで、こどもが「わかった」と理解したり「できた」と達成感を感じる機会につながりづらくなるという可能性です。

私たち大人は、生まれてから徐々に積み重ねてきた「経験」を通し、次に起こることや相手が期待することを予測します。一方、まだ経験が少ないこどもは、そうした力が十分に備わっていません。そのため、幼いこどもは先の例のように「走らないで!」と言われても、「じゃあ何をすればいいの?」と次に取るべき行動がわからないことがあるのです。

しかし「歩こうね」と言われれば、「走るんじゃなくて歩くんだ」と理解できます。こうした経験が積み重なることで、こどもは「わかる」「できる」につなげていくことができるのです。逆に「~しないで!」と否定の言葉ばかり受けていると、何をするべきなのかわからないままになってしまいます。

②自己肯定感の育ちにかかわる影響

2点目は、冒頭でも少し触れた「自己肯定感」にかかわるものです。そもそも自己肯定感とは何なのでしょうか。

自己肯定感とは
  • 「自分は愛されるに値する人間だ」と心の中で自分自身を肯定できる力のこと。自尊感情にも似ている。
  • こどもが自立していく中で、親や誰かが近くにいなくとも「自分は大丈夫」と思える力。

つまり自己肯定感とは、自立や自律を支える基礎的な力でもあります。生きていく中で自己肯定感が大切だと言われるのはこうした理由からです。

自己肯定感は、生まれてから徐々に生活の中で育まれていきます。その力が育まれる幼少期に、否定的な言葉をかけられ続けるとどうでしょう。人格ではなく行動を注意されているにもかかわらず、こどもは「自分は肯定されない」という感情を持ちます。そうした経験が積み重なると、「いつも否定される」「自分を認めてもらえない」という思いにも。ここから、自己肯定感や自尊感情が育まれづらくなることにつながっていくのです。

否定的な声かけ、どう変換すればいい?

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「否定的な声かけをしてしまうことが多い」と感じられる方は、まずは日々の声かけを見直してみましょう。そして否定語を肯定語に変換する意識を持つことから始めるのがおすすめです。

否定語が出そうになったらいったん立ち止まり、肯定語に変換してみます。冒頭でご紹介したように、「走らないで」を「歩こうね」に言い換えるといった具合です。さらにその上で、「~だから、こういうふうにしてほしいの」と理由やしてほしいことを添えて話す工夫をしてみましょう。

声かけ例
  • 「走らないで」→「車が来ると危ないよ。ここは手をつないで歩こうね」
  • 「そんなふうに片付けないで」→「次のお友達が使えるように、おもちゃをもとの場所に戻そうね」

このようにひとこと理由を添えてもらうだけで、伝えられる側も納得感を得られるものです。

大切なのは、相手を尊重したかかわり

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否定的な声かけは、こどもだけでなく大人自身にも影響を与えることがあります。

「走らないでって言っているのにどうしてわかってくれないの!」

「何度も言っているのになぜ伝わらないんだろう?」

こどもの行動の理由を理解できずに生まれる、大人のイライラや焦り。こどもの理解度と大人の期待にギャップが生じることで、このような負のスパイラルに陥る場合があるのです。

親と子も人間対人間のかかわり

これはこどもだけでなく、パートナーや職場の誰かに対しても同じです。否定の言葉ばかり浴びていると、大人も自信を失いモチベーションが下がっていくものですよね。

つねに心に留めておきたいのは、親と子も「人間対人間」だということです。どのようなかかわりもそうですが、相手を尊重したやりとりを意識することが大切です。私たちの日々の意識を少し変換してみることで、こどもの自己肯定感の育みの助けになる。そして、私たち自身がより幸せに生きることにつながっていくのです。

まとめ

さて、今回は否定的な言葉がこどもに与える影響と、具体的にできることをご紹介しました。

繰り返しになりますが、こどもの自己肯定感は日々の生活の積み重ねで育まれていくものです。私たちの日々の意識やこどもへのまなざしが、いずれ来るこどもの自立の基礎を育む助けにつながっていきます。

否定的な言葉の多用に悩む方の中には、こどもに行動を切り替えてほしい時、「何度言っても動いてくれない」というお悩みを抱えている方もいらっしゃるかもしれません。そのような場合の対策として、ぜひこちらの記事もご一読くださいね。

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この記事を書いた人
Mariko Dedap
ライター / 保育士 / 中高美術教諭

フランス在住ライター。教育、語学、旅、文化などについて執筆。日英翻訳も行う。大学卒業後渡英、ロンドンでライター活動を開始。その後日本で英会話講師や編集業を経たのち、インターナショナルスクールで5年間幼児教育に携わる。現在は、フランス南西の街トゥールーズで、日本にルーツを持つ幼児たちに日本語教育も行っている。

この記事の監修者
モンテッソーリ教師あきえ
モンテッソーリ教師あきえ
国際モンテッソーリ協会(AMI)ディプロマ / 保育士 / 幼稚園教諭 / 小学校教諭

Montessori Parentsファウンダー兼講師。公立の幼稚園教諭をしていた頃、日本の一斉教育に疑問を抱きモンテッソーリ教師に。現在は「子どもが尊重される社会」を目指して、モンテッソーリ教育に沿った子どもや子育てについての発信を行ってます。

▼著書
「モンテッソーリ教育が教えてくれた『信じる』子育て」(すばる舎)
「モンテッソーリ流 声かけ変換ワークブック」(宝島社)

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