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こどもが叩く理由とは?【対処法】モンテッソーリ流対応3つのポイント

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いやなことがあると、人を叩く、蹴る。これはイヤイヤ期に限らず、幼いこどもによく見られる行動です。実際、お子さんに叩かれ「どうしたらいいのかわからない」と対応法に悩む方もいらっしゃるかもしれません。また、「お友達を叩いているのでは」「うちの子は乱暴なの?」と不安を感じる方もいるでしょう。

思い通りにならないことがあると叩く、蹴る、ものを投げる。こどものこうした行動には、実はきちんとした理由があります。今回はその理由とともに、モンテッソーリ教育の考え方に沿ったおすすめの対応法をご紹介します。

なぜ叩くの?その理由は「言葉にできないもどかしさ」

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言語が未発達なこどもたち

0~6歳、特に3歳頃までのこどもは、日々多くの言葉をインプットし、言語を獲得しようとしています。モンテッソーリ教育では、こどもがある力を獲得しようと強い興味を見せる時期を「敏感期」と呼びます。この時期、こどもたちはまさに「言語の敏感期」にいるのです。

しかし言語が未発達なこどもにとって、思いを言葉で表現するのはまだまだ難しいもの。相手の言葉を理解できるようになればなおさら、「スムーズに言葉が出てこない!」ともどかしさを感じることが増えていきます。

叩くことで思いを表現する

年齢が低いほど「うまく伝えられない」という葛藤は強く、その思いはいらだちにつながっていきます。そこでこどもは、今自分にできる方法として、言葉の代わりに身体を使って思いを表現しようとします。

それが「手で叩く、足で蹴る、口で噛む、ものを投げる」といった、私たち大人を悩ませる行動の正体なのです。

叩くこどもへの対応、モンテッソーリ流3つのポイント

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しかし「わざとではないから」と、こどもの「叩く」行動を容認してもよいのでしょうか?答えはノーです。いくら理由があっても、人やものに危害を加えることは決して良い手段ではありません。また、そのメッセージをこどもに伝えていくことが必要です。

そのためにも、叩くなどの行動を見せた時、まずはその行動は“しないこと”として伝えることが大切です。「叩くことはしないよ」「それはしてほしくないことだ」などと一線を引きましょう。モンテッソーリ教育ではこの線引きを「制限」と表現することがあります。そして、この「制限」を明確に示すことができれば、こどもを「叱る」必要はないと考えられています。

それでは具体的にはどのように対応すればよいのでしょうか。下記の3つのポイントに絞って見ていきましょう。

3つのポイント
  1. 「線引き」伝え方のコツ
  2. 身体で制止する
  3. 繰り返し、一貫性を持って伝える

それでは、ひとつずつ順番に見ていきましょう。

①「線引き」伝え方のコツ

線引きをする時は、「痛いから叩かないで」「お友達のことは叩かないよ」などというように、はっきりわかりやすい言葉で伝えます。コツは感情的にならないこと、シンプルに伝えること、そして真剣な態度で話すことです。

大人が感情のままに怒りを表現しても、こどもには「怒っている」という印象しか残らず、「叩いてはいけない」という肝心な部分が伝わりません。「〜だから、こうで…」など説明的に長々と話すのも避けましょう。長いお話は、何が大切なメッセージなのかこどもには理解しづらいものです。また、感情的になっているこどもの耳にはなかなか届きません。

「痛い〜!やめてよぉ」などとふざけて伝えるのもNG。こどもが「やってはいけないことだ」という認識が出来なくなってしまうからです。怒るのではなく淡々と、シンプルにわかりやすく、ふざけず真剣に。この3点を意識してみてくださいね。

②身体で制止する

①のポイントを押さえ、たとえば「痛いよ。叩きません」と伝えても、こどもがその行動をやめてくれない。そんな場面も多々ありますよね。感情をコントロールできない状態のこどもにとって、ある行動をぴたっと止めるのは難しいものです。

「伝えても伝えても叩き続ける」という場合は、物理的に、こどもが叩くことができない場所へ離れることも必要です。また、「手を押さえる」「抱きしめる」など、こどもの身体自体を制止することもひとつの手段です。ただ、ここでも大切にしたいのは感情的にならないこと。「叱る」「怒る」のではなく、「冷静な態度で一線を引く」という一貫した対応を意識することが必要です。

③繰り返し、一貫性を持って伝える

線引きを示したら、「これがほしかったんだね」などこどもの気持ちを代弁した上で、「そんな時は叩かないで、”これが欲しい”と教えてね」と具体的な言葉で伝えます。また、「パパの身体も大切なんだ。だから叩かないよ」と、何があっても自分を含む人やものを傷つけないことをお話しましょう。

身体ではなく言葉で伝えること、やっていいこととやってはいけないことの境目があること、人やものを大切にすること。同様の行動が見られた場合には、このような理解してもらいたいメッセージを繰り返し、一貫性を持って伝えていきましょう。そうすることで、長期的な目で見た時に「なぜ叩くことがいけないのか」「かわりにどうしたらいいのか」という大切な部分を、こどもが本当の意味で理解できるようになっていきます。

こどもへの長期的なまなざしが育んでくれるもの

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とはいえ、まだ発達途中のこどもたち。「お話を一度で理解し、すぐさま行動に反映する」というのはもちろん難しく、長期的な目で見たかかわりが大切になってきます。

お伝えしてきたようなかかわり方は忍耐力や一貫性が必要です。また、「叱る」という一見即効性があるかかわりに比べると、効果が見えづらい部分がありますよね。大きな変化を感じられない目の前のこどもの姿に、焦りや不安を感じることもあるでしょう。

しかし言語を獲得するにつれ、こどものこうした行動は確実に減少していきます。長期的な目でこどもを見ること、信じること。そのまなざしこそが、こどもにとって本当に大切な力を育む助けとなるのです。

まとめ

今回は、こどもの叩く行動について、その理由と対応方法をご紹介しました。大切なのは、行動を容認することでも𠮟りつけることでもなく、こどもの行動に対し線引きを示すこと。その上で、「人やものを傷つけないこと」「言葉で伝えること」など具体的な言葉で繰り返し伝えることです。そしてその上で、こどもなりの思いや理由にもしっかり寄り添っていきたいですね。

「叩く」「蹴る」以外にも、お子さんの「泣く」「ものを投げる」などといった行動に悩まれている方もいらっしゃるかもしれません。ぜひ過去の記事「思い通りにならないと泣く、ものを投げる!モンテッソーリ子育てのコツ、3ステップ」もご参考にしてみてくださいね。

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この記事を書いた人
Mariko Dedap
ライター / 保育士 / 中高美術教諭

フランス在住ライター。教育、語学、旅、文化などについて執筆。日英翻訳も行う。大学卒業後渡英、ロンドンでライター活動を開始。その後日本で英会話講師や編集業を経たのち、インターナショナルスクールで5年間幼児教育に携わる。現在は、フランス南西の街トゥールーズで、日本にルーツを持つ幼児たちに日本語教育も行っている。

この記事の監修者
モンテッソーリ教師あきえ
モンテッソーリ教師あきえ
国際モンテッソーリ協会(AMI)ディプロマ / 保育士 / 幼稚園教諭 / 小学校教諭

Montessori Parentsファウンダー兼講師。公立の幼稚園教諭をしていた頃、日本の一斉教育に疑問を抱きモンテッソーリ教師に。現在は「子どもが尊重される社会」を目指して、モンテッソーリ教育に沿った子どもや子育てについての発信を行ってます。

▼著書
「モンテッソーリ教育が教えてくれた『信じる』子育て」(すばる舎)
「モンテッソーリ流 声かけ変換ワークブック」(宝島社)

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