モンテッソーリ教育で後悔?モンテッソーリ教育の本質とは?
今、注目を集めているモンテッソーリ教育ですが、一方では「受けたほうがいいの?」「どんな効果がある?」と、疑問に感じる声もちらほら見られます。
この記事では、みなさんがモンテッソーリ教育に対して感じる疑問や不安に答えていこうと思います。
目次
そもそもモンテッソーリ教育ってどんな教育?
今から110年ほど前にイタリアで、マリア・モンテッソーリという女性医師によって築き上げられたモンテッソーリ教育は、以下の5つが軸となっています。
詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください。
モンテッソーリ教育を実施する園ではどんなことをしている?
一般的な教育が行われている保育施設では、先生がやることを決めて見本を見せて子ども達が実践することが多いと思います。子どもがやることを自己選択することよりも、先生がやることを決めて、大人主導で進んでいく時間が長くあります。
では、モンテッソーリ教育を実施している園はどのような特徴があるのでしょうか?モンテッソーリ教育を取り入れている園の特徴の代表的なところは以下の3つです。
もちろんこれら以外にも特徴はありますが、上記のの3つが主な特徴となります。上記の特徴にもあるように、先生が全てを決めるのではなく、あくまでも子ども自身が自己選択をして取り組む自由が保障されています。
子ども主体だと協調性がなくなるのでは?
これまで見てみたように、モンテッソーリ教育に対して「自由」という印象があるがゆえ、社会性や協調性に欠けるのでは?と不安視する声もよく聞こえてきます。
しかし、実は反対なのです。モンテッソーリ教育では、強制された同調ではなく、自然と身につける社会性が子どものペースで発達していくことができます。
モンテッソーリ教育は、「自立」「自律」に向かう子どもをサポートし、尊重することをモットーとしています。さらに、先程見てきた通り異年齢での環境を大切にしつつ、「個」の成長をサポートしていきます。
私たち大人はつい「みんなに迷惑をかけないように」「誰とでも仲良く」「いけないことをしたらすぐに謝ることができる」などという理想を社会性として子どもに求めたくなってしまいます。
しかし、この時に意識したいのは、「みんなに合わせなさい」「同じようにしなさい」というのは同調性と自然と身に付ける社会性は違うということ。
「個」を育む時期にしっかりと自分を創ることができるようサポートする。「個」を創るよりも先に集団に無理やり合わせることではなく、しっかりと「個」を育んだ上で他人を尊重し、共に過ごすことのできる力を育んでいく。
さらには、乳幼児期には敏感期というエネルギーがあり、その助けもあって一定の発達段階まで進むと、子どもは周りの人とかかわりたい!という欲求をもったり、自分がいる環境のマナーや慣習に興味をもったりしていきます。そのような発達の流れや子どもの欲求を大切にすることで、人とかかわる経験を通して自分で考えてより良い立ち振舞ができる社会性を子どもは身につけていくのです。
活発な子はモンテッソーリ教育に合わない?
今まで見てきた疑問や不安以外にもモンテッソーリ教育に対して「ずっと座ってなくてはいけないの?」「動き回ってはいけない?」「活発な子は合わないのかな?」というというイメージをもっている方もいるかもしれません。
上述の通り、モンテッソーリ教育には「お仕事」というものがあります。一言で「お仕事」と言っても実は色々な種類があります。動きの大きさも様々で、実際に何かを書いたり、作ったりと手先の動きを伴うお仕事で身体ををあまり大きくは動かさない活動もあります。しかし、洗濯をする活動やお庭のお手入れなどの身体を動かす活動もあります。
子どもの発達には身体を大きく動かすことも必要なことなので、お仕事や日々の生活を通して、あらゆる動きが経験できるようにしていきます。
そのため、活発だからモンテッソーリが合わない、逆に、ゆったりしたタイプだから合わないということもありません。
モンテッソーリ教育は、一人ひとりの命が育まれていくことを助ける教育方法です。
モンテッソーリ教育は知育やお受験のため?
モンテッソーリ教育を受けることで、頭が良くなるのか?と聞かれることがあります。頭が良いというのは、勉強ができる・IQが高いということだけではなく、継続して学ぶことができる意志力や自己コントロール力、そもそも自分から学びに向かっていく意欲があるかなどを意味するEQ(心の知能指数)も重要になってくると思います。
子どもの様々な能力は、その子が生まれ持った遺伝要因と環境要因が掛け合わさって結果として現れることです。同じことをやってもよくできる子もいれば苦手な子もいる。それは子どもだけではなく、大人も同様です。人間は誰しもが一人一人に凹凸があり、どこに凸があり、どこに凹があるのかも人それぞれ。そのため、モンテッソーリ教育を受けたから、必ずしも頭が良くなるというわけではありません。
まずマインドとして、何かをさせたから、大人が望んでいる姿に子どもが変わるということは、何をやってもないということを私たち大人が認識することが必要です。
その子が持っている力を最大限に発揮できるようにするのが教育であり、その中のひとつがモンテッソーリ教育なのです。
モンテッソーリ教育の中には、さまざまなエビデンスがありますが、その中のひとつに「モンテッソーリ教育を受けた子は、自己コントロール機能が発達しやすい」※1 というものがあります。学びだけではなく、人生において自分を律することは必須。その力の育みが学びを主体的に行い、学ぶ意欲を持ち続けることができることにつながるのかもしれません。
※1 Lillard, A. S. (2012). Preschool children’s development in classic Montessori, supplemented Montessori, and conventional programs. Journal of School Psychology, 50(3), 379-401.
モンテッソーリ教育は競争心が育たない?
乳幼児期は特に誰かと競うことよりも、「自分」を創ることが何よりも大切だとモンテッソーリ教育は考えています。そのため、「競争心が育たないのでは?」と考える方もいるかと思います。
乳幼児期は人格形成に大きな影響を与える時期。その時期に「勝ったからすごい」「負けたからだめ」と、競争によって優劣をつけ、競争意識をあおることは、ねたみや憎しみといったマイナスの感情を生む原因にもなります。
これまで見てきた通り、モンテッソーリ教育では縦割りクラスを取り入れています。そのため、年上の子がモデルとなり、年少の子にその姿を見せることで、あるべき姿やその環境でのマナーやルールを自然と提示してくれています。また、年齢に縛られず、好きなことや得意なことでお友達の役に立つという経験なども通して、クラス全体に尊重の輪が広がります。
モンテッソーリ教育は、誰かと比べたり、勝ち負けで判断するのではなく、その子自身を見た上でかかわり、サポートすること大事にしています。子どもが自分たちで「競いたい」と思って競うことや競うことを楽しむ場合に関しては、無理に止める必要はありませんが、「自分」を創るべき時期に大人が必要以上に競争心を醸成することはしなくても大丈夫なのです。
まとめ
今回は、モンテッソーリ教育に関する疑問や不安にお答えする形でお届けしました。モンテッソーリ教育に対して持たれることの多い疑問や不安は、少し解決したでしょうか?
最後にこれまで見てきた内容をまとめてみましょう。
モンテッソーリ教育の目的は、Aid to Life(生きることを助けること)です。また、尊重されて育った子どもは、自己実現だけではなく、他者貢献についてもベクトルが向いていきます。「困っている人に対して私は何ができるのか」「どうすれば未来がより良くなるのか」。このような他社貢献や社会貢献を自然と考えられるようになっていきます。そのため、モンテッソーリ教育は平和教育とも呼ばれているのです。
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出版社勤務を経て、出産を機にフリーランスに。育児書や児童書、Webメディアなど、ママパパ向けの媒体での執筆がメイン。7歳と11歳の娘の母。