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車のおもちゃで遊ぶ男の子

おもちゃを貸せないのは意地悪?モンテッソーリ流のかかわり方

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お友だちにおもちゃを「貸して」と言われたときに、こどもが貸せない姿を見ると、「一緒に使いなさい」と声を掛けたり、「このままだと意地悪な子になってしまうのでは?」と不安に感じたりすることはありませんか?

しかし、乳幼児期のこどもは「貸せなくても大丈夫」なのです。

大人は「貸して」と言われたら「いいよ」と返すのが「思いやりがあるいい子」と思いがちですが、思いやりは大人が押し付けることで育まれるものではありません。

この記事では、なぜ「貸せなくても大丈夫」なのか、このような場面でどのように大人がかかわるとよいのか、ということについて紹介していきたいと思います。

どうしたらこどもが貸せるようになるの?大事な大人のマインドセット

おもちゃで遊ぶ男の子

まず、乳幼児期(特に0〜3歳)は「貸せなくても大丈夫」だということを大人が認識することがなにより大切です。

大人のマインドセット

「貸すべき」「貸せるようにしなくては」→「貸せなくても大丈夫」へチェンジ!

それはなぜか、どうしたらこどもがお友だちにものを貸せるようになるのか、2つのポイントを見ていきましょう。

こどもを知るためのポイント2つ
  1. 乳幼児期は「自分=個」を育む時期。「今」が満たされる経験を重ねることで、ゆくゆくは周りにも目が向くようになる。
  2. 「誰にも取られない」という安心感を得ることで、自然とお友だちにもものを貸せるようになる。

乳幼児期のこどもは、「自分=個」を育んでいる発達段階にあります。この時期のこどもにとって、まず大事なことは、お友だちにものを貸せることではありません。それよりも大事なことは、自分でやりたいことを選び、自分の興味のあるものや楽しいと思うことを、誰にも邪魔されることなく、満足するまで繰り返し取り組めるということ

人にものを貸すことで、「やりたい!」というエネルギーが遮られることが続くと、「不満足」な状態になります。この状態では、思う存分に個を育むことができなくなってしまいます。まずは、しっかりと個を育み発達していくことで、徐々に周りにも目が向くようになっていきます。そのために大切なのは、「今」やりたいことが満たされるということです。

また、本当は自分が使いたいのに、いつも貸さなくてはいけない状態が続くと、こどもは「取られてしまう」という不安感が大きくなります。結果的に貸せない状態につながりかねません。満足いくまで使うことができるという経験、そして、貸したものが返ってくるという経験を重ねていくことで「安心感」を得ることができます。そうして安心することで、自然とお友だちにもものを貸せるようになっていくのです。

断る力も必要!大人のかかわり方

砂場で遊ぶ子どもたち
  1. こどもの世界では、「貸して」と言われたら「いいよ」と言って貸すことを求められる場面が見受けられることがあると思います。しかし、これから先、子どもが自分の人生を歩んでいくためには、ときには断る力も必要です。

それでは、こどもに「貸したくない」という意志がある場合、どのようにかかわるとよいか、具体的な声かけ例を見ていきましょう。

声かけ例
  • 「『あとでね』って一緒に言ってみようか」
  • 「『終わったら貸すね』って伝えればいいんだよ」
  • 「『今は使っているから待っててね』って言えばいいんだよ」

お友だちに「貸して」「一緒にやろう」と声を掛けられたときに、「だめ!」「いやだ!」と怒るのでは、円滑なコミュニケーションは図れませんよね。そのような姿が見られたときは、コミュニケーション力を鍛えるチャンスです。「だめ!」「いやだ!」の代わりに、どのような言葉で伝えることができるか、上の具体例のように知らせていきましょう。

こどもの年齢が低い場合は、大人が代弁することも必要です。あるいは、「一緒に言ってみようか」と誘うこともできます。

このような経験を積み重ねていくことで、こどもはコミュニケーションの取り方を学んでいくことができます。

公共の場ではルールを伝える

ターザンロープで遊ぶ子どもたち

満足いくまでやらせてあげたいけれど、たくさんの人がいる場で、「独り占めするような状態になるのはどうなの?」と疑問が湧いた方もいらっしゃると思います。

公園や児童館など、公共の場のおもちゃや遊具は、その場に適したルールを伝えていくことが、社会性を身につけるうえでも大切です。

こどものやりたい気持ちを受け止めつつ、繰り返しルールを伝えていきましょう。

声かけ例
  • 「一つずつにしようね」(複数のおもちゃを独り占めしている場合)
  • 「他にも使う人がいるんだよ」
  • 「これはみんなで使うよ」
  • 「順番を待とうね」

特に年齢が低い場合は、「みんなで使うよ」「順番を待とうね」と伝えつつ、大人が一緒に待つということが必要です。

「やりたい!」と思ったら身体がすぐに動く時期であるため、こどもにとって、目の前にあるのに「できない」「使えない」という状態は、苦痛でしかありません。そのため、手をつないだり、身体に手を添えたり、歌を歌ったりしながら一緒に待ってあげましょう。他の遊びを提案してみるのも一つですね。

まとめ

「ものを貸せない」ということについて、ここまでお読みいただいていかがでしたでしょうか。

乳幼児期は、「貸せる」ということよりも、自分を創ることが大切です。また、嫌だと思ったときに、どのように自分の思いを伝えていくのかということも重要です。そういったコミュニケーション力を育むことが、こどもが今後人間関係を構築していくうえでの、基盤になるのではないかと思います。

こども同士でやりとりして、取った取られたという経験をすることも多々あるでしょう。どちらの立場も経験していくことで得られる学びもあります。そのときに、大人が必要以上に介入して「貸す」ことを強要することは避けたいですね。

中には、あまりものへの執着心がなく、貸すことに抵抗のないお子さんもいます。それに関しては心配しすぎることもありません。「貸せること」と「貸せないこと」、どちらがよくて、どちらが悪いということではありません。

目の前のこどもが「今」なにを求めているか、そして今後の人生を歩んでいくうえで、どのような力を身につけていくことが大切なのか、ということを考えてかかわっていきたいですね。

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この記事を書いた人
モンテッソーリペアレンツ
Montessori Parents

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