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モンテッソーリ、子育て

モンテッソーリ教育のメリットとは?エビデンスが示すこどもへの影響

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現在、世界140か国以上で適用されているモンテッソーリ教育。近年は、従来の教育に代わるオルタナティブ教育のひとつとして、日本でも広く知られるようになりました。これほどまで支持されるモンテッソーリ教育ですが、実際、こどもの育ちにどのような影響を与えるのでしょうか。

今回は、モンテッソーリ教育の影響を調べた研究結果をエビデンスとして見ながら、モンテッソーリ教育がこどもに与える影響、そこから見えるメリット、そしてご家庭で実践できるモンテッソーリ教育の方法などについてご紹介していきます。

モンテッソーリ教育ってどんな教育?

モンテッソーリ、子育て、育児

モンテッソーリ教育は、今から110年以上前にイタリア出身の女性医師マリア・モンテッソーリによって築かれました。当時ローマの精神病院で働いていたマリア・モンテッソーリが、療育研究をきっかけに、こどもの観察を通して確立した科学的な教育法です。

モンテッソーリ教育というと「知育」「脳育」といった言葉を連想される方もいるかもしれませんが、その本来の目的は「器用なこどもや勉強ができるこどもを育てる」ことではありません。モンテッソーリ教育が目指すのは、こどもの自立・自律を育む手助けをし、自己実現や他者貢献ができる人間を育むこと、そしてその先にある平和な社会です。

また、こどもたちの生命を援助する教育とも言われます。その根底にあるのは「発達段階や欲求に応じた適切な環境があれば、こどもは自ら発達することができる」自己教育力という考え方。こどもたちが持つ力を最大限に発揮し、自分のペースで自分らしく人格形成していけるようサポートすることが大切にされているため、モンテッソーリ教育では「大人が何かを与える」のではなく、「こどもの姿を観察することで彼らの欲求に気付き、環境を整えていく」こども主体の教育が行われます。大人主体で行われることが多い一般的な教育とは大きく異なる点ですね。

※モンテッソーリ教育についてさらに詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。

研究が示す、モンテッソーリ教育の好影響

それではモンテッソーリ教育の環境下で過ごすことで、こどもたちにはどのような影響があるのでしょうか。まずは幼児期におけるモンテッソーリ教育の影響について示したバージニア大学(アメリカ)の研究(※1)について詳しく見てみましょう。

(※1) 研究名「 Montessori Preschool Elevates and Equalizes Child Outcomes: A Longitudinal Study」(2017年発表)

幼児期の発達をより効果的に助けてくれるモンテッソーリ教育

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この研究では、モンテッソーリ教育とそれ以外の教育の影響を比較分析しています。

研究内容
  • 対象:3歳のこども計141人。(※人種、保護者の収入や学歴はさまざま。)
  • 期間:研究開始当初3歳だったこどもたちが、6歳になるまでの3年間。
  • 対象分野:認知力、社会性、情緒、実行力、学校での充実感、創造性など。
  • 方法:研究期間の3年間、141人のこどものうち70人はモンテッソーリ教育を、残り71人はモンテッソーリ教育以外の教育を実践する保育・教育施設に在籍していた。ふたつの異なる環境下で過ごしたそれぞれのこどもたちの力を比較するため、3年の間に4回テストを実施し、各分野におけるこどもたちの成果を計測・分析した。

この研究の結果、研究者は「モンテッソーリ教育の環境下にあったこどもたちは、その他の教育環境下にあったこどもたちに比べ、対象分野のさまざまな面で能力の高さを見せた」と結論づけています。さらに、保護者の所得にかかわらず、モンテッソーリ教育を受けることで「こどもの成果が平等化される」つまり「モンテッソーリ教育は所得による学力格差を縮小する一助になる」とも示唆しています。(※2)

モンテッソーリ

また、幼児から高校生までのこどもを対象とした研究(※3)においても、モンテッソーリ園・校に通うこどもたちと、従来の教育形式を取る園や学校に通うこどもたちを比較した上で、「モンテッソーリ教育は、学問分野(言語、数学、社会、理科などの学科)および学問以外の分野(創造性、実行力、社会技能など)の双方で、こどもたちの成果によい影響を与える」としています。このふたつの研究から、モンテッソーリ教育は学問的な力だけでなく、社会性、創造性、実行力、充実感といった「心」や「生きる力」の育みにも好影響を与えると捉えることができそうです。

(※2)本研究ではこうした結果を認めながらも、「この研究結果の妥当性を示すため、さらに広い研究対象を相手に研究をする必要がある」と記している。

(※3)研究名「Montessori education’s impact on academic and non academic outcomes: A systematic review 」。1967〜2020年に至るまでの2000を超えるさまざまな研究結果やデータを分析。この中には、アメリカ、トルコ、スイスなど8ヵ国のデータが含まれている。

大人になった時の幸福度にも影響が

モンテッソーリ、幸福度

さらに2021年に発表された論文(※4)では、幼少期に受けたモンテッソーリ教育が大人になってからの幸福度に影響を与えるという結果が出ています。

1905人の成人(18〜81歳)を対象としたこの研究では、「こども時代にモンテッソーリ教育を受けた場合、成人期の幸福度がより高くなる」と示され、「モンテッソーリ教育を受けた年数は長ければ長いほど高い幸福感につながる。少なくとも2年間のモンテッソーリ教育の経験が成人期の幸福度の高さに関連付いている」と示唆しています。

この研究を行った研究者は、ここでいう「幸福感」につながる要因として、モンテッソーリ教育の環境下で得られやすい以下3点が関係しているのでは分析しています。

研究者の分析
  • 自己決定力(Self-determination)モンテッソーリ教育の「こども主体」の教育環境下では、活動など、自分の意思で選択決定することが担保されている。
  • 有意義な活動(Meaningful activities)ここでは、根底にある目的が明確で、目的意識を感じやすい活動を指す。モンテッソーリ教育の環境下では、どの分野においても「自分の興味のある活動を追求すること」が担保されており、こどもが活動にやりがいを見出しやすい、つまり「有意義な活動」体験が得やすい。
  • 社会的な安定性(Social stability)発達段階に応じた縦割りの異年齢クラスをとるモンテッソーリ教育では、一般的な縦割りクラスに比べ、同じ先生や仲間たちと過ごす期間が長い。これは社会的情緒の発達と持続的な人間関係を育む環境であり、良好な人間関係、自信、学業成績を支えると考えられる。

こうした分析から、研究者は「こども時代にモンテッソーリ教育を通し育んだ3つの肯定的な因子が、大人になってからのウェルビーイングに好影響を与えるのだろう」と結びつけています。

(※4)研究名「An Association Between Montessori Education in Childhood and Adult Wellbeing」。(2021年発表)ここで述べられている幸福感は、「一般的な幸福感」「エンゲージメント」「社会的信頼」「自己信頼」という4つの要素からなる。

今すぐ家庭で実践できるモンテッソーリ教育

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ここまで読んでくださった方の中には、「こどもにモンテッソーリ教育を受けさせてあげたい」とお考えの方もいるかもしれません。しかし実際、「近所にモンテッソーリ園がない」「家庭でモンテッソーリ教育を実践したいけれど、何から始めればよいのかわからない」と、最初の一歩を踏み出すことができずにいる方もいることと思います。

最近では「おうちモンテ」(※5)という言葉もよく目にしますが、こうした活動はモンテッソーリ教育の一端にすぎません。モンテッソーリ教育の目的のひとつは「こどもの自立・自律を助けること」。そのためにも、まずは大人が「こどもを尊重する」マインドを持ち、こどもの主体性を育むお手伝いをすることが、モンテッソーリ教育実践の第一歩なのです。この考えを軸に、ご家庭でできるモンテッソーリ教育の実践方法をご紹介します。

(※5)おうちモンテッソーリ教育の略。

まずは環境を整えよう

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モンテッソーリ教育では「こどもは環境を通してあらゆることを吸収し、自らを発達させていく」と考えられており、環境を整えることが大切にされています。その中でも物的な環境を整える際にポイントとなるのは、こどもが「自分でできるかどうか」です。

さまざまなスキルを獲得するために「自分でやりたい!」というエネルギーに溢れるこどもたち。その「やりたい」を叶えられる環境を設定するため、まずはこどもの目線に立ち、「使いやすいかどうか」「手に持ちやすいかどうか」「手が届くかどうか」などを確認してみましょう。そして、必要があれば踏み台を用意したり、こどもに合ったサイズのもの(調理器具や掃除用具など)を用意しましょう。その他、ご家庭での環境づくりについては「おうちの環境づくり」や、「家庭でできるモンテッソーリ教育」についての記事で詳しくまとめていますので、ぜひ併せてご一読ください。

こどもへのかかわりを見直してみよう

「環境」というと、物を用意したり部屋を整えるなど「物的環境」が頭に浮かぶ方が多いかもしれませんが、実はこどもたちと接する私たち大人も「環境」の一部です。モンテッソーリ教育では、この「人的環境」にあたる私たち大人の「こどもに対するまなざしやかかわり」もとても大切に考えられています。

こちらの記事でも詳しくご紹介をしていますが、まず大切にしたいのはこどもをひとりの人間として尊重することです。「尊重」というと少し漠然と感じられるかもしれませんが、たとえば下記のようなかかわりは、こどもを尊重するかかわりだと言えますね。

こどもを尊重するかかわり
  • こどもに選択肢を示し、自分で決定できるようにする。(例:着る洋服の選択肢を見せ、「どちらにする?」と決めてもらう。)
  • こどもを観察し、こどもがその時に「やりたい」と思っていることを知り、できるようサポートする。(例:ティッシュ箱から何枚もティッシュを引っ張り出すこどもの姿を観察し、その子が「引っ張る」動作をしたがっていると知り、代わりに布などを引っ張り出せるものを用意しその動きをできるようにしてあげる。)

「家庭で実践できるモンテッソーリ教育」を学ぶには

オンラインスクール、モンテッソーリ

ここまでご紹介してきたように、「家庭でのモンテッソーリ教育の実践」のためには、まずこどもにかかわる大人のマインドを育み、こどもを尊重したまなざしやかかわりを持つことが大切です。

そんな「家庭で実践するモンテッソーリ教育」の核となるモンテッソーリマインドや知識、そして子育てのスキルを身に付けたいという方には、子育てに特化したモンテッソーリ教育について学べるモンテッソーリペアレンツがおすすめです。

モンテッソーリペアレンツは「モンテッソーリ教育について詳しく学びたい」「こどもにモンテッソーリ的なかかわりをしたい」という方はもちろん、「こどもにどうかかわっていいかわからない、イライラしてしまう…」と子育てにお悩みの方にもぴったりのオンラインスクールです。気になる方は、まずはこちらのページから無料説明会にお申し込みください。

「モンテッソーリ教育の資格を取得し、子育てや仕事に活かしたい」という方は、こちらのページもご参考にしてみてください。モンテッソーリ教師をはじめとする、モンテッソーリ教育の資格取得について詳しくご紹介をしています。

まとめ

今回は、モンテッソーリ教育がこどもに与える影響についての研究を見るとともに、モンテッソーリ教育をご家庭ですぐに取り入れる方法についてもご紹介しました。人生を通してポジティブな影響を与えてくれるモンテッソーリ教育の考え方、日々の子育ての中でどんどん取り入れていきたいものですね。

ご家庭でモンテッソーリ教育を実践するために必要なのは、特別な道具でもプロフェッショナルなスキルでもなく、私たち大人がこどもについて知りマインドを整えること。あなたもモンテッソーリペアレンツで子育てやモンテッソーリ教育について学んでみませんか。無料説明会でお待ちしています!

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この記事を書いた人
Mariko Dedap
ライター / 保育士 / 中高美術教諭

フランス在住ライター。教育、語学、旅、文化などについて執筆。日英翻訳も行う。大学卒業後渡英、ロンドンでライター活動を開始。その後日本で英会話講師や編集業を経たのち、インターナショナルスクールで5年間幼児教育に携わる。現在は、フランス南西の街トゥールーズで、日本にルーツを持つ幼児たちに日本語教育も行っている。

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