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MPを受講してから数年。こどもとの日々で変わったこと、今も大切にしていること——MP卒業生3人の座談会

2023年にモンテッソーリペアレンツで学び始めた3人が再会し、当時と現在について座談会をしました。
受講を始めた頃に感じていたこと、受講後に変わったこと、今も難しいこと。当時を思い出しながら、現在のこどもとのかかわりについてもお話を聞きました。
今回お話を聞いた皆さん
- 友野 美香さん|ご受講期間:2023年4月〜2024年4月
- 矢野 夕夏さん|ご受講期間:2023年3月〜2024年10月
- 橋本 風香さん|ご受講期間:2023年6月〜2024年6月

この記事の内容
受講を始めた頃、子育てで悩んでいたこと
MP: モンテッソーリペアレンツ(以下、MP)で学び始めた頃は、どんなことに悩んでいましたか?変えたいと思っていたことや、もしくは願っていたことなどを教えてください。

風香さん: 上の子が年中さん、下の子を3歳で未満児クラスに預け始めて少し経ったタイミングでした。朝の時間がすごく大変で、全然準備が進まなくて。「早くしなさい」って言いたくないのに、言ってしまっている自分がいて。こどもにどうしてあげたらいいんだろう、声のかけ方を変えたいと思っていました。
夕夏さん:私は、上の子が3歳くらいで、下の子はまだいなくて、ちょうど妊娠が分かった頃でした。きっと家族も揺れ動く、そんな予感がしていて、なんかもうちょっとドシッと構えていきたいなっていうのが自分の中にあったんですよね。
多分自分の気質的にも、時間が迫っているときに、結局こどもにしわ寄せがいくというか、こどもをコントロールしたくなってしまうことがあって。
そのあとに自分の中でモヤモヤして、「それって本当に必要だったのかな」「自分の考え方で、かかわり方も変わるのかな」と思っていました。
美香さん:私は上の子が3歳半ぐらい、下の子が1歳のタイミングでした。家族の都合で、ちょうど日本から海外に引っ越して4ヶ月経ったぐらいの頃でしたね。
環境の変化もあり、すごく上の子の揺らぎが大きくでていて。こどもを見守って、落ち着いた声かけをしたいという願いはありました。
でも、どうしたらいいかも、ある程度はわかっているつもりだったけれど、実際には全然できていなくて。そんな自分を変えたいと思っていました。
受講後、こどもの見え方や自分のかかわりはどう変わった?
MP: 皆さんそれぞれに解決したいことや願いがある中で、MPで学んだあと、こどもの見え方や自分のかかわり方に変化はありましたか?

美香さん: 体系的に知識を整理して、目の前のこどもと照らし合わせて理解していく中で、少し深呼吸できるというか、落ち着いてこどもの姿を捉えられるようになりました。
こどもがネガティブな面を見せているとき、そこを変えようとするのではなくて、できていることや、その子の存在自体を認める。そういうポジティブなかかわりを増やそうと意識する中で、こどもに向ける自分の目線が変わっていったのかなと思います。
夕夏さん: 私、そんなにきれいに変わったかと言ったら、「変わりました」って堂々と言えるかな?という感じではあるんですが…。
でも今日も、移動の時間が迫っているのに、こどもは道にひっくり返っている虫を観察したくて。今までだったら「ちょっとごめんね」と引っ張っていたかもしれないけれど、今日はまだ時間があったので、一緒に見たり、こどもが立ち止まっているのに一緒に付き合ったりできて。
言葉にするときれいすぎる感じがあって、うまく言えないけれど、こどもが望んでいることをキャッチする、いろいろな網が自分の中に増えてきた感じがあるかなと思います。
風香さん: 最初の頃は、「急かさないようにしよう」「言いそうになったら深呼吸しよう」と意識していました。こどもの手に届くように環境を整えて、あまり言わずに見守ることも意識していました。
少し待って、観察しようと思えるようになって。こどもがすぐに変わったわけではなくて、自分が一度止まる。どうしても間に合わないときは、「手伝うね」と伝えてから手伝うようになった気がします。
「私は急ぎたいと思っているけれど、この子はまだあれをやりたいんだな」って見る。それでも時間がなければ、「ちょっと時間がないので」とこどもに言えるようになったのは、変化かなと思います。

でも、もちろんできる時ばかりではないです!
夕夏さん・美香さん:うんうん(笑)分かる!
風香さん: こどもは、わかっていることと、できることは別なんだって。わかっていても、できないことはありますよね。
MP: それはまさに私たち大人にも言えることですね。
数年経って、今でも大切にしていること
MP: 受講時に子育てで大切にしたいことや判断軸を言葉にしたと思います。あれから数年経っている今も、大切にしていることや自然と続けていることはありますか?

美香さん: 今回、当時のワークブックを読み返していて「私、こんなことを書いていたんだ」と再発見しました!その中に、「寝る前に一日一回こどもをハグして、大好きだよと伝える」と書いてあったんです。
私が大切にしたい軸は、こどものありのままの姿や、存在自体を認めたいということだったんだと思います。それを私なりに伝える表現として、ワークブックに書いていました。
毎日必ずではないけれど、気づいたときにハグしたり、寝る前に大好きだよと伝えたり。今も自然としているなと思いました。
夕夏さん: その軸、いただきたい(笑)
風香さん: 実は私も、ワークブックに「一日一回は抱きしめて、大好きと伝える」と書いていたんです!
一同: ええ!すごい!!
風香さん:受講前もしていたとは思うけれど、ワークブックに書いたことで、こどもの存在を認める気持ちを、言葉や態度で伝えようと意識するようになったんだと思います。
今では、寝る前の儀式のようになっています。私自身も安心するし、私が「大好きだよ」と伝えると、こどもたちも返してくれて。
それによって、私も満たされているんだなと思います。 ただ、イライラしているときは、すぐにはできないこともあります。そんなときは少し時間を置いたり、深呼吸したりしながら、最後には伝えるようにしています。
MP: 夕夏さんは、どうですか?
夕夏さん: こどもが生まれたとき、「あなたがどんな子なのか教えてほしい」と別の日記に記録していて、それをMPのワークブックにも書いていました。

どんな子なのかを、私が決めるとか、周りが決めるとかではなくて。「あなたはどんな子なの」と教えてもらいながら、大切にしていきたいと思って。
MPの中には、物事をこどもに「やらせる」のではなくて「紹介する」などといったこどもを一人の人として尊重する言葉やかかわり方があふれていたと思います。自分の中にあった、ふわふわした軸を補強してもらった感じがありました。
その軸はずっと大切にしたいと思いつつ、できないときもありながら生活しています。
でも、家の環境をこどもが自分でできるように整えたり、その子が大事にしたいと思っていることを一緒に大事にしたり、話を聞いたり。日常の一つひとつに散りばめられていると思います。
日常の中では、「大切にできているのかな」と思うこともありますが、自分の中に軸があることで、迷う回数を少し減らせるような感覚があります。
こどもは成長し、悩みは変わっても、軸は変わらない
MP: お子さんも受講当時とは違う発達段階に入り、悩みや葛藤の種類も変わっていると思います。その中で、今も大切にしていることはありますか?

風香さん: 園から小学校に上がったときは、本人の変化がとても大きかったです。毎日「そっか、そっか」と話を聞いて受け止めていたけれど、だんだんこちらも疲れてきてしまうくらいで。
それでも、私がしていることは、以前と大きく変わっていないのかもしれません。
目の前の姿だけで判断せず、その子の存在を認めることや、長い目で見ること。
そのときどきのこどもたちを見ようとすることは、今も変わらず大切にしています。 発達について学んだことで、「今、こどもたちが変わっているんだ」と捉えられるようになりました。悩みの内容は変わっても、こどもの変化の途中にいると知っているだけで、少し安心できる部分があります。
MP: 悩みは変わっても、かかわり方のベースは変わっていないんですね。夕夏さんはどうですか?
夕夏さん: 小学校に入って環境が大きく変わると、本人の負担も増えて、それまで見えていなかったその子の特徴が、よりはっきり見えてくることがありました。
そういうとき、私は何があったのか知りたくて、「それってどういうこと?」と、いろいろ聞いてしまうんです。でも振り返ると、本人が話したいことを聞いているというより、私が知りたい答えを見つけにいっていることがあって。
だから、「その質問って誰のため?」ということは、自分の中ですごく問うようにしています。
私はもともと、「この子がどんな子なのか、本人から教えてもらいたい」と思っていました。その自分の軸に戻りながら、こちらから答えを探しにいくのではなく、こどもが話す中で落としてくれたものを、一つずつ拾うようにしようと思っています。

美香さん: 私も、その瞬間には俯瞰できないことがあります。でも、少し落ち着いてから振り返ったり、自分の頭の中で整理したりしています。
目の前に必要な対応はしながらも、「今見せている姿が、その子のすべてではない」「この状態がずっと続くわけではない」と長い目で見ることで、自分の気持ちを少し軽くしています。
知って終わりではなく、試して振り返ることで学びが残った
MP: MPの学びの中でしていた振り返りが今も自然と続いているのは、どんな学び方があったからだと思いますか?
風香さん: 一回ではできないので、ワークショップに参加したり動画を見たりして、「そうだよな」と思っても、実際の生活ではできなくて。「できなかったな」「次はこうしてみよう」と振り返る。その繰り返しでした。
私は、思ったことを書くことで、もう一度自分の中に入ってくる感覚もありました。動画を見て、考えたことを書いて、実際の生活でまた試す。そういうことを繰り返していたと思います。

夕夏さん: 受講していた間は、動画を撮って振り返ったり、観察会で見たり、記録したりする中で、こどものことや自分のかかわりについて考える回数が、圧倒的に増えていたと思います。
ただ知識を受け取るだけではなくて、実際にやってみる場に自分を置いていた。だからこそ、「もっと環境を整えられたかもしれない」「ここは、もう少し手を出さなくてもできたかもしれない」と、客観的に見られることがありました。
次に同じような場面があったときには、前に見たことが自分の中に残っている。それでもまた口を出してしまって、「またやっている」と気づくこともありました。
できなかったことに気づくのは、苦しいときもあります。でも、試して、振り返って、また気づく。そのサイクルを何度も回したことで、少しずつ自分の中に入っていった感覚があります。
美香さん: 私も本はよく読むんですけど、本を読んでも線を引くくらいで、自分がどう感じたかをノートに書き出すことは、あまりしていませんでした。
MPでは、学んだことを受け取るだけではなくて、「自分はどう感じたのか」「じゃあ、今後どうしていきたいのか」と書いて、また自分の暮らしに落とし込む機会がありました。そこが大きかったと思います。
ワークショップでは、ほかの方が同じように悩んでいることや、その方がどのように考え、試したのかを聞くこともできました。
普段、身近な友達とは、子育てについて「あなたはそこで何を大切にしたいの」というところまで話すことは、なかなかありません。
ほかの人の声を間近で聞いて、「同じように悩んでいるんだ」と安心したり、「この人はこうしたんだ」と違う視点に気づいたり。そういうことを、その場で受け取れたのがよかったです。
MP: 知識を受け取るだけではなく、自分の暮らしの中で試して、振り返って、書いて、ほかの人の視点にも触れる。その往復が、今も続く「振り返る習慣」につながっているんですね。
数年経った今、受講当時の自分にかけたい言葉
MP: 数年経った今、受講当時の自分にどんな言葉をかけてあげたいですか?

美香さん: 言葉をかけるというより、まずは肩を揉んであげたいです。「本当にお疲れさま」と伝えたい。今回ワークブックを見返して、「自分、意外と頑張っていたじゃん」とも思えました。
夕夏さん: 「大丈夫だよ。そんなに気を張らなくてもいいよ」と伝えたいです。日々いろいろなことがあったけれど、その節々でちゃんとこどもと向き合ってきた。「ここまで向き合ってきてくれてありがとう」と言ってあげたいです。
風香さん: 私も、「よくやっているよ」かな。あのときは、あのときなりに一生懸命やっていたと思うから。それから、「MPに出会えてよかったね」とも伝えたいです。
今、子育てに迷っている方へ伝えたいこと
MP: 今、子育てについて迷っている方へ伝えたいことや、どんな方にMPをおすすめしたいかを教えてください。

美香さん: 先ほどお話しした、「3年前の自分の肩を揉んであげたい」という気持ちと同じで、今悩んでいる方にも、同じように肩を揉んであげたいです。
MPに興味を持って、学ぼうかと考えていること自体が、それだけ子育てや自分自身に向き合っている証拠だと思います。その時点で、「本当にお疲れさま」と伝えたいです。
学ぶためには時間やエネルギーも必要だけれど、その時間は、後になっていろいろなことにつながっていくと思います。私自身、学ぶ時間がとても楽しかったので、今迷っている方を応援したいという気持ちです。
夕夏さん: 子育てに悩まない人って、いるのかな?と思っていて。
悩んでいるということは、自分の「こうしたい」という願いや、その人の思いがあるから悩むのかなと思っています。
悩みも無理に手放す必要はないし、そこを一つずつ丁寧に見ていく。迷っている人や悩んでいる人には、みんなおすすめかなと思います。
風香さん: MPをやってよかったなと思うのは、自分自身と向き合うことができたことです。「自分はこう願っているんだ」と気づけたし、「私はこういう気質があるな」と、自分自身を知る機会になりました。
子育てに悩む人もそうだし、自分自身のことを知りたい人にもおすすめだと思います。私は思うように対応できなかった時も自分を責めすぎずに「そういう時もある。」って受け止められたり、自分とこどもの小さなできたを認めてあげられるようになりました。自分のことを認めてあげられるようになるから、対応これでいいのかな?とか、うまくできない…と不安を感じている人にもおすすめです。

編集部より
今回の座談会では、受講当時を振り返りながら、数年を経た今の暮らしについて、3人それぞれにお話しいただきました。当時のワークブックに書いた言葉を手がかりに、今も大切にしていることをたどる場面もありました。
心に残ったのは、悩みがなくなったことでも、いつも理想どおりにできるようになったことでもありません。迷ったときに立ち戻れる「自分らしい子育ての軸」が、数年を経た今も、それぞれの暮らしの中で、日々のかかわりを支えていることです。
「学びが暮らしに根づく」とは、答えを持ち続けることではなく、その都度、自分の願いに立ち戻り、目の前のこどもと向き合い直せることなのかもしれません。
大切な経験を言葉にしてくださった3人に、心より感謝します。





